林八郎


陸軍歩兵少尉(歩兵第一連隊)
林八郎少尉は、上海事変で戦死した林大八陸軍少将の次男である。大正三年九月五日鶴岡に生れ、東京第四中学から仙台陸軍幼年学校を経て陸車士官学校に入学、事件の前年である昭和十年に卒業して少尉に任官したばかりであつた。同志青年将校中の最年少者で、弱冠二十三歳であつた。歩兵第一連隊で栗原中尉の薫陶(くんとう)を受けていた。
獄中、蹶起の心情を訴え、事件の成功と失敗を述べた烈々たる遺書が書き残されている。
命日 昭和十一年七月十二日(第一次処刑)
戒名 誠徳院一貫明照居士
墓所 東京都北多摩郡 多摩墓地内
母への遺詠
御心をやすむる時もなかりしが
  君に捧げし此身なりせば
 母上様に捧ぐ
    昭和十一年七月十一日 八郎
不変の盟
鬼となり神となるともすめろぎに
  つくす心のたゞ一筋に
すめろぎの隈なき光みつれやと
  たぎる血汐に道しるべせん
           焔峰林生

河野司編 二、二六事件よりの抜粋
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